「おくりびと」がアカデミー賞を受賞しましたね。
私はカラー以外にデザインの仕事も行っているのですが、昨年大分の呉服屋「池永」さまからの依頼で、商品のパンフレットを作成しました。
その商品とは、亡くなった方が着るための着物(旅立ち衣)です。
ものがものだけに、どういうデザインにしたら良いのか迷いました。
儚さを持っていながら寂しいイメージにはしたくない、との要望でしたので悩んだ挙句、日本人に馴染み深い「紫」をテーマカラーに作成。
ありがたいことに、先方さまには大変喜んでいただけました。
商品が良いこと、さらに先日のアカデミー賞効果で日本人の死に対する認識が深まったことから、とうとう昨日の夕方には地元のニュースに流れるまでに。
本当に良かったです。
さて、では少しだけ紫に触れます。
昔、紫は紫根を染料としていました。今も大分の竹田では栽培されています。
貝を使った貝紫もありますが、一般的には紫根を使用していました。
その紫根は周りの触れているものに色をうっすら移すことから、平安時代の貴族は「縁につながりのあるものにも情けをかける」という意味で「ゆかり色」とも呼んでいたそうです。
紫蘇の入ったご飯を「ゆかりご飯」という理由はここにあるのですね。